相沢沙呼 『小説の神様 あなたを読む物語(下)』 (講談社タイガ)

小説の神様 あなたを読む物語(下) (講談社タイガ)

小説の神様 あなたを読む物語(下) (講談社タイガ)

わたしは、絶対に、あなたに続きを書いてもらうから。

きっと、あなたの物語を必要とする人が、この世界にはまだまだたくさんいるはずなのだから。

『小説の神様 あなたを読む物語』の下巻.物語はひとの心を動かしたりはしない.それならば,どうしてわたしたちは物語を読むのだろう.どうして物語を書くのだろう.続編を書く意味はあるのだろうか.読者は何を考えているのか.疑問は引きも切らず,悩みは尽きない.いちおうの結論は出るけれど,それが唯一の答えかというと当然そんなこともない.今までも私小説みたいなものだったけど,これはもう半分以上ノンフィクションなのではないかな.作者自身の悩みや葛藤をそのままフィクションの姿で繋げたかのような.若書きというとおかしいけれど,一作目もあわせて,ナイーブな不器用さが愛おしくなる小説だったと思う.

「だからね、この物語を書いてくれてありがとう」



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