新井輝 『忘却のカナタ 探偵は忘れた頃にやってくる』 (ファンタジア文庫)

忘却のカナタ 探偵は忘れた頃にやってくる (ファンタジア文庫)

忘却のカナタ 探偵は忘れた頃にやってくる (ファンタジア文庫)

「俺もすぐ追いつく――か」

そんな彼が小さくなっていくのを見送りながら、私はその言葉を繰り返した。

気付けば彼のことを私はヒーローだと信じていた。

12階建てビルの13階にあると言われる探偵事務所,忘却社.ここには本当に助けを求める依頼者だけがたどり着けると噂されている.高校生の三倉咲夜は,友人のストーカー被害の調査を依頼しようとしてこの不思議な探偵社にたどり着き,社長代行を名乗る男,岬翼に出会う.

《固有結界》(セルフリアリティ)に侵入する能力を持つ「忘却探偵」を中心に,全員が全員わけあり,どこか危ういものと秘密を抱えた歪んだ人々の人生が新宿歌舞伎町で交錯する.スピーディな群像劇,あるいはヒーローの物語.いくつもの謎と,あちこちに埋もれた火種を残したまま,ラストまで一直線に駆け抜ける.現時点では長編小説の導入といった感じで,強く惹かれるところはなかったのだけど,面白くなりそうな雰囲気はぷんぷん感じる.期待してます.



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