有丈ほえる 『救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由2』 (講談社ラノベ文庫)

救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由2 (講談社ラノベ文庫)

救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由2 (講談社ラノベ文庫)

「文明が滅んでしまった理由を知りたいのです。そうして、一つの問いに答えを見出したい――果たして、あらゆる文明は滅びを前提として生まれるのか? もし、そうじゃないのなら、不滅の文明に必要な条件とはなんなのか――」

人造人間リュトと行動をともにする考古学者のニナ,アイルは,アカデミーの依頼を受けて,千年前に行方をくらました伝説の英雄,サイトバル将軍の足跡を追うことになる.将軍が眠ると目される古戦場に向かった一行は,そこで遭遇した発掘村をベースに発掘を行うことになる.

千年前に失踪した英雄の真実,そして現代まで生きていた千年前の陰謀とは.2ヶ月連続刊行の2巻.あとがきで「三巻の刊行が未定のため,三巻が出るのであれば一番面白くなるプロットを書いた」とぶっちゃけており,なるほどあちこちに未回収の伏線がばらまかれていることが見て取れる.物語自体は悪くないと思うのだけど,話作りは悪い意味でスケールを感じない.せっかく人間に変わって外来知性体(宇宙人)が地球の霊長になったというのに,やっていることは同類同士でのケチくさい権力争いばかりだし,言葉は日本語(と明記されている)だし.続きが気にならないわけではないけど,このままだとストレスのほうが強い.この設定ならもっと面白い話ができそうなのに,もったいないなあと.



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