昏式龍也 『双血の墓碑銘』 (ガガガ文庫)

双血の墓碑銘 (ガガガ文庫)

双血の墓碑銘 (ガガガ文庫)

凄まじい恐怖が心臓を掴んだ。己の死を意識したときよりも、遥かに強く。

約束を果たせないこと――侍としての生き様を貫けないことへの、激しい恐怖が。

果たして――

火薬の炸裂する轟音と共に、薩摩兵の心臓が血飛沫の薔薇を咲かせていた。

1868年,鳥羽伏見の戦いにて,新選組隊士の柾隼人は命を落とそうとしていた.隼人は人間であることを捨て,戦場で出会った吸血鬼の少女,柩の眷属になる.少女を守るため,復讐のため,ふたりは東へと向かう.

吸血鬼となったワイルド・ビル・ヒコック,鉄腕ゲッツ,ジョン万次郎,沖田総司その他もろもろが幕末日本で大暴れ.吸血種族によって開国させられた日本を舞台にした異能伝奇.テーマは面白いのだけど,話運びは非常に素直.アクションももうひとつけれん味が足りず物足りない.「侍」への強いこだわりと憧れを持つ主人公像は良いので,もっとフォーカスしてくれると個人的には良かったと思う.それにしても,吸血鬼の絡んだ歴史改変ものを読む機会が増えている気がするのだけど,日本でも増えているのかな?