浅倉秋成 『教室が、ひとりになるまで』 (角川書店)

教室が、ひとりになるまで

教室が、ひとりになるまで

――私は教室で大きな声を出しすぎました。調律される必要があります。さようなら――

私立北楓高校で生徒の連続自殺が起こった.ひとりがトイレで首を吊り,その後ふたりが立て続けに飛び降り.疑う余地のない自殺だと考えられていた連続自殺だったが,垣内の幼なじみは,三人とも自殺ではなく,学校に人殺しがいるのだと打ち明ける.

クラスの人気者だった彼らは,なぜ同じ文面の遺書を遺して次々と自殺したのか.学校に伝わる《受取人》というシステムを利用した,青春暗黒ミステリ.「最高のクラス」をいっしょに過ごした彼らの間には,決して埋めようのない断絶があった.永遠に理解できない相手が学校の中にも外にもいくらでもいて,同じ空間,時間を過ごさないといけないという煩わしさ.タイトルの意味がわかってから畳み掛けるような絶望感が訪れ,それでも最後にちょっとだけ希望が残る.都合がいいといえばそのとおり,しかし「犯人」サイドの動機や心情が(おそらく被害者側よりも強く)わかってしまうだけに,ラストには救われた.良いものでした.