- 作者: デイヴィッドピース,David Peace,黒原敏行
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2019/03/22
- メディア: 単行本
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「おい、聞えるか? お前は生れて来たいか?」
君の父親が母親の生殖器に口をつけて、こう尋ねている。――
「よく考えた上で返事をしろ。……」
父親は襖側の畳に這いつくばり、電話でもかけるように生殖器に口をつけて、こう尋ねる。――「お前はこの世界へ生れて来たいのか? どうなんだ?」
尋ねる度に、返事を待つ間、父親は
卓子 の上にある消毒用の水薬を口に含み、嗽いをし、母親の尻のそばに置かれた金盥に吐く。それから元の姿勢に戻り、口を生殖器につけて、また尋ねる。――「さあ、さあ、どうなんだ! お前はこの世界へ生れて来たいのか?」
これは,鉄の城の一つにいる
訳者あとがき(の著者の言)によると,芥川作品の英訳をコラージュする手法を取っているとのこと.類書として『高慢と偏見とゾンビ』をあげている.正直なところ,自分が芥川作品をあまり読んでいないので,十全に面白がるには教養が足りなかった.「~とゾンビ」を読んだ時は,(当時は気力があったので)あらかじめ『高慢と偏見』を読んで臨んだらとても楽しかった.巻末の参考文献リストと訳注をたどってから,再読してみるほうがよい,というかそうしないともったいないかもしれないと思った次第.
kanadai.hatenablog.jp