- 作者: さがら総,カントク
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/03/25
- メディア: 文庫
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思い出してほしいんだけど、読書とはほぼほぼ実質セックスなんだよね。意味がわからない人は、これを気にぼくらの話を読み返してほしい。
一本杉の丘で焼かれた12冊の横寺くんノート.ここで語られるのは,燃え残っていたわずかな断章.この世界だけの物語.
12巻で完結かと思っていたらまだ続いていた,「完全に完璧に全璧に幸せなエピローグ」.よくある体裁の短編集で,ハッピーエンドを迎えるのは嘘ではないのだけど,読み口はどこか切ない.ハッピーエンドの影には,他にありえた物語がいくつもあったのだな,みたいな.物語が終わったあとには,無限の物語が書き手と読み手の数だけ並行世界のように広がっているけれど,私のいる世界はここだけなのだ.びっくりしたのは,12冊の間ずっと「一人称を持たない」登場人物がメインにいたのが明かされたこと.その仕掛けに気づけていれば……! みたいな気持ちはある.本当に,「信用できないこと」にかけては信用できる作者だと思ったことよ.