川岸殴魚 『編集長殺し5』 (ガガガ文庫)

編集長殺し 5 (ガガガ文庫)

編集長殺し 5 (ガガガ文庫)

「編集者たるもの、作家に怪我はさせないんよ。驚くほどソフトタッチなんよ」

「そう、削っていいのは売れてない作家だけね」

ギギギ文庫の名物であるドS幼女編集長の様子がおかしい.もしかして転職を考えているのではないだろうかといぶかる編集部員たち.これではただの幼女ではありませんか.

大量の新人賞の下読み,前年比売上40パーセントマイナスの大爆死からの役員による「激励」,ソシャゲのシナリオライティングに奪われる作家たち.逆境だらけのライトノベル業界をまろやかなギャグにくるんで送ってきたシリーズの完結巻.あくまでコメディではあるのだけど,裏にいろいろ透けて見えるものがあって,笑いも少し乾いてしまう.立場がひとをつくるとはこのことだ,みたいな,一種のホラーのようなラストも良かった.幼女編集長よ,また会う日までさようなら.