高木敦史 『僕は君に爆弾を仕掛けたい。』 (スニーカー文庫)

僕は君に爆弾を仕掛けたい。 (角川スニーカー文庫)

僕は君に爆弾を仕掛けたい。 (角川スニーカー文庫)

「ねえ。これから先、しっかり手伝ってもらうからね」

「何を?」

「怪物退治。学校から悪意を消して、私が保健室登校を辞められる日が来るまで」

「私と目を合わせた人は、みんな私を嫌いになる」.ある理由から学校に爆弾を仕掛けた中学生の笹子は,保健室登校の小手毬に爆発前の爆弾を見つけられてしまう.小手毬の真っ黒な瞳には,フラットウッズの宇宙人が写っていた.

形を持った学校の「悪意」と謎を解決してゆく.少し不思議な学園ミステリ.とりあえずヒロインのマリマリこと小手毬真理花がかわいらしい.知らないひとの前では弱気なのに,保健室では好き勝手なかまってちゃん.主人公を振り回しながら,たまに暴走する.典型的なキャラクターではあるのだけど,落ち着きとひねくれが同居した作者独特の語りがうまく,読んでいていやみがない.キャラクターと事件の両方に,不思議な印象を残すラブコメ……にとどまらないなにかになっていると思う.なかなか一言で表しにくいのだけど,とりあえずいろんな層に読んでもらいたい気がしております.