呂暇郁夫 『リベンジャーズ・ハイ』 (ガガガ文庫)

リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

確かに自分たちは、互いに誰かの仇のために生きて、今は二人とも名前を失っている。ただ、本質はまるで異なる。シルヴィにとって、復讐は手段だった。チューミーにとっては目的だった。そこには無限の隔たりがあることに気づいていたが、わかった上でどうしようもなければ、どうしたくもなかった。

有害な砂塵粒子に覆われた世界は大きく衰退していた.チューミー・リベンジャーは”掃除屋”を営みながら,復讐の相手であるスマイリーの行方を探していた.ある日,偉大都市の治安維持組織に捕らえられたチューミーは,粛清官から取引を提案される.

過去しか見ていないチューミーと,未来のために復讐を目論むシルヴィ.荒廃した世界,砂塵粒子の舞う偉大都市で,ふたりは復讐のために手を組む.第13回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞の,復讐ものにしてバディもの.ダークヒーローの雰囲気があり,有害な砂塵を防ぐためすべての登場人物が仮面を付けているということもあり,第一印象は仮面ライダー(バイクにも乗る).「復讐」がテーマだけあって,登場人物それぞれの過去をしっかり描いている.意外とストーリーは王道で,基本に忠実だと思う.ただ語り口は硬さが目立つかな.悪い作品ではないけれど,個人的には少しケレン味がほしかった.