劉慈欣 『三体』 (早川書房)

三体

三体

「三日後の――つまり、十四日の――午前一時から午前五時まで、全宇宙があなたのために点滅する」

「中国で三部作累計2100万部突破」,「アジア圏&翻訳小説初のヒューゴー賞受賞」.すでにあちこちで話題になっている「現代中国最大の衝撃作」.一言で言うなら三体問題をテーマのひとつにしたファーストコンタクトSF,だと思う.

文化大革命,父親を殺された女性科学者の絶望.それから40年後,何者かによってもたらされた「科学の死」,三つの太陽を持ち滅亡と繁栄を繰り返す「三体世界」とオンラインVRゲーム『三体』の謎.あらすじで荘厳なハードSFを想像していたら,思った以上にトンデモなく,妙な茶目っ気がある.あれやこれやと詰め込まれた情報量が半端ではなく,それでいてリーダビリティも非常に高い.引き込まれました.