紙城境介 『継母の連れ子が元カノだった3 幼馴染みはやめておけ』 (スニーカー文庫)

継母の連れ子が元カノだった3 幼馴染みはやめておけ (角川スニーカー文庫)

継母の連れ子が元カノだった3 幼馴染みはやめておけ (角川スニーカー文庫)

  • 作者:紙城 境介
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/12/01
  • メディア: Kindle版

失敗した。

心の底から失敗した。

未練は本当にどこにもない。あの夜に芽生えたはずの熱情は、今となっては寂しいくらいどこかに消えた。代わりにあるのは、途方もないほどの後悔だ。

だから言おう、何度でも。

幼馴染みはやめておけ。いざとなっても逃げ場がない。

幼馴染みはやめておけ。隠し事ができなさすぎる。

幼馴染みだけは、絶対にやめておけ。

夢のようには、忘れられない。

川波小暮と南暁月はお隣同士に住む幼馴染み.かつて流れで付き合っていたふたりは,今では顔を合わせるたびにいがみ合うようになっていた.学校行事の勉強合宿の晩.小暮と暁月は,黒歴史になっていた思い出に向き合うことになる.

元カップルのきょうだいから少し離れて,その友達である元カップルの幼馴染みにスポットを当てた第三巻.恋人同士になる前から積み重ねた思い出が,付き合って別れることを経て,すべて黒歴史になってしまう.フィクションにしか存在しない,都合のいい「幼馴染み」を再定義した巻になっていると思う.幼馴染みという「役割」の持つ甘酸っぱさ,そこから生まれる苦さを男女両方の視点から浮かび上がらせている.これこそがラブコメの醍醐味,というか,作者の筆力と着眼点に蒙を啓かれた思いがした.「ラブコメ」と「幼馴染み」を愛するひとにぜひ読んでいただきたいと思いました.