- 作者:落葉沙夢
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2020/01/24
- メディア: 文庫
「君は……すまない、覚えていないのだが、誰だったかな?」
「こんな場面で登場するのはいつだって主人公に決まっているだろ」
凡庸な自分を受け入れつつ生きてきた平凡な高校生,大迫祐樹.彼の前にある日見知らぬ少年が現れ,「異能」を持つ者たちのバトルロイヤルへと誘ってくる.「特別な存在」になりたいと望む祐樹はバトルロイヤルへの参加を決意する.
それぞれの願いをかけて,十三人の異能者によるバトルロイヤルが始まる.第15回MF文庫Jライトノベル新人賞審査員特別賞受賞の「事件的怪作」.異能力者のバトルロイヤルものとして読むと普通,というかかなり硬い印象なんだけど,実はミステリ的な仕掛けが隠されていた,という.語り手(異能者)が次々と死んでは移り替わっていくこと,そして「主人公」というキーワード,それぞれに意味を持たせている.読みやすい話だとは正直思わないのだけど,意欲的な試みは買える.いかにも新人賞らしい作品だと思いました.