秀章 『ヤンキーやめろ。メイドにしてやる』 (講談社ラノベ文庫)

ヤンキーやめろ。メイドにしてやる (講談社ラノベ文庫)

ヤンキーやめろ。メイドにしてやる (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:秀章
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/02/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

「一人で生きることだけが自立じゃない」

久世太一郎は代々執事を務める家系の生まれ.現在は日本有数の名家・鶴ヶ島家の次女,麻白に仕えている.ある日新たな専属メイドを雇うようにお嬢様に指示されていた太一郎.街なかで喧嘩をしていたヤンキーの朱雀井ハナを助け,成り行きからメイドにスカウトする.

プリン頭のヤンキー娘,渡世の義理によって世界一のメイドを目指すの巻.父親が失踪してグレてるけど昔気質で義理堅いヤンキー娘.Sっ気があるけど有能で懐の深さが見えるお嬢様.ふたりを信じつつ見守る執事.三人の関係と成長を描くラブコメ.

なぜヤンキーがメイドに向いているのかだとか,ハナの持つメイドの素質と挫折,成長だとか,それぞれに芽生えてゆく信頼関係だとか.派手さはないけど,着実に堅実に筋道立ててキャラクターを描いている.過去の作品から一貫した作者の姿勢が垣間見え,相変わらずとても好感が持てる.200ページほどの短い,なんてことない話ではあるのだけど,そんなわけで安心して楽しめました.