高島雄哉 『不可視都市』 (星海社FICTIONS)

不可視都市 (星海社FICTIONS)

不可視都市 (星海社FICTIONS)

  • 作者:高島 雄哉
  • 発売日: 2020/03/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

理論とは、世界を見るための視座に他ならない。

彼は思ったのだった。

世界を変容させる戦争と、世界を見るための理論を、同一視できるのではないかと。

もし戦争と理論を溶け合わせることができれば、世界そのものを書き換えることだってできるのではないかと。

西暦2109年。12の〈超重層化都市(ギガロポリス)〉に人口の大半が生活するようになっていた世界は、その1年前に突如として現れた13番目の見えない超重層化都市、不可視都市によって分断されていた。数学者の青花は、月面にいる恋人の紅介に会うため、量子犬を伴い北京の超重層化都市を脱出する。

理論と世界を同一化する〈不可視理論〉とは。〈不可視都市〉によって物理的にも情報的にも分断化された世界を、2109年、1944年、2084年の三つの視点を入れ替えながら描いてゆく「超遠距離恋愛SF」。圏論、公理、AI。数学をベースにしたSF用語や理論に、適度な法螺と嘘を組み合わせて大風呂敷を作った、みたいな印象を受けた。というか、正直なところ作者のイメージをちゃんと共有できた気がしていない。細かいことまで理解せずとも読めるし、理解する必要はないんだろうけど、簡単な解説がほしいな。