大泉貴 『ダンジョン・ザ・ステーション2』 (LINE文庫エッジ)

「僕はね、ここは戦場だと思っているんだ」

「……戦場?」

「そうとも。我々の世界と、異世界とが争う、戦争だよ」

新宿駅の第五層に棲むという最強最悪の怪物、〈駅龍(ドラクル)〉。ユウたちのパーティは、それまで階層を越えて現れることのなかった〈駅龍(ドラクル)〉に襲われ仲間を失う。〈駅龍(ドラクル)〉を打倒するため、仲間を取り戻すため、ユウたちはダンジョンの奥にあるというオリハルコンと呼ばれる“ナニカ”の探索へと赴く。

迷宮と化した新宿駅で、ダンジョンを掌握しようとヒトと怪物の思惑が交錯する。ダンジョンの内外から敵の現れる、現代冒険譚の第二巻。舞台やガジェットは非常に現代的だけど、起承転結のしっかりした、古き良きダンジョンファンタジーの香りがする。うまく言葉にできないんだけど、ダンジョンそのものが小説から生まれた、という由来が効いている気がしている。ファンタジーの脅威たるドラゴンを模した〈駅龍(ドラクル)〉は良い意味で古典的な描き方。そこに無人在来線爆弾(のようなもの)をぶつけるのは現代的、という。せっかく面白くなってきたのに、LINE文庫終了で続きが読めないのは残念だなあ。