鶴城東 『クラスメイトが使い魔になりまして3』 (ガガガ文庫)

見れば、画面には幼い俺が映し出されている。十歳前後だろうか……その傍には、同年代らしき二人の少女もいた。日本人形のような少女と、眉が太いポニーテールの少女。

強烈な既視感に襲われる。

「六年前の、あなた自身の記憶だよ」

いつの間にか、真横に幼い俺が立っていた。

召喚士と使い魔の関係になって、想太と千影は同居を続けていた。想太の新魔術を狙う魔術結社「宵の明星」を釣り出すため、想太は師匠からふたりの婚前旅行をするよう、提案される。

同居しつつも喧嘩ばかり、主従ラブコメの第三巻。二巻にもましてラブ度強めなラブコメをやりつつ、なぜこのふたりが出会い、こういう関係になったか、物語の核心に踏み込んでいる。方向性がわかりやすくなったぶんだけ、巻を追うごとにしっかり面白く、うまくなっていると感じられる。人間の事情を歯牙にもかけず好き勝手振る舞う「神様」の傍若無人に、人間同士の争いだったり恋情だったりそれ以外の気持ちだったり、シンプルだけどきれいにまとまっていると思う。良かったです。今月に出る続編も楽しみにしてます。



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