赤月カケヤ 『異世界はジョーカーに微笑んだ。』 (MF文庫J)

異世界はジョーカーに微笑んだ。 (MF文庫J)

異世界はジョーカーに微笑んだ。 (MF文庫J)

初めて人を殺したのは、八歳のときだった。

相手は母の再婚相手、つまりは義理の父だ。

法で裁かれない人間を次々と殺し、世間から「正義の殺し屋」、「現代の必殺仕事人」と呼ばれていた男、ジョーカー。彼は自分を追い詰めたSAT隊員とともにミサイルで吹き飛ばされ異世界に転生する。そこは選民思想に支配された階層社会だった。

正義の殺人鬼は理不尽な世界から理不尽な異世界へ転生する。インテリ殺人鬼の活躍に暴力にセックスに露悪趣味と、作者の嗜好が存分に弾けたエンターテイメントになっております。勃起したペニスを切り落として踏みにじるような小説をMF文庫Jで読めるとは思わなかった。ガガガ文庫でもやってなかったぞ。

支配者に好き放題され抑圧される弱者たちの復讐と、裏に表に暗躍する異世界者(ドリフターズ)。読んでいて不思議と懐かしい気持ちになって考えたのだけど、これは時代劇のフォーマットなのかな。異世界転生ものの皮をかぶった時代劇。楽しかったです。