ピーター・トライアス/中原尚哉訳 『メカ・サムライ・エンパイア』 (ハヤカワ文庫SF)

「きみは勝つために極端な戦法をとった。最終的な目的を達するために、枝葉末節は無視したわけだ」

「その言い方は美辞麗句がすぎると思います」

「ではどんな言い方をする?」

「生き残っただけです」

1994年、アメリカ大陸西海岸の日本合衆国。高校生のマックこと不二本誠は、アメリカ人テロ組織に殺された両親の意志を継ぐべく、陸軍士官学校への入学を目指していた。実際のところはなかなか成績も伸びず、ゲームに明け暮れる日々。結果として帝試に失敗した誠だが、同級生の伝手で民間起動防衛隊のキャンプに参加することになる。

1948年に米国が敗戦した世界。北米大陸では隣接する日本合衆国と独領アメリカが緊張を高めつつあった。『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』の続編となる歴史改変SF。日本合衆国の五虎将が操るメカに立ちはだかる、第三帝国ナチスのバイオメカ。そのパイロットは……。

友情・努力・勝利だけでなく、挫折・疑心暗鬼・復讐までが描かれる青春物語であり、学園ものガンダム(ややスーパー系)の趣がある。前作に比べて、徹底的にボンクラに振り切った作風になっている。楽しかった。続編『サイバー・ショーグン・レボリューション』もポチったのではやいところ読みます。



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