宮澤伊織 『裏世界ピクニック4 裏世界夜行』 (ハヤカワ文庫JA)

お風呂で、二人きりで、肩が触れあっていたあのとき……やっぱり、あのときの私たちはちょっとおかしかった。

いや違う。鳥子がおかしかった。私じゃなくて。それははっきりさせておきたい。

――空魚、好きだよ。

あらありがとう。嬉しいわ。

――おっぱいかわいいね。

ちょっと待てや。

カルト集団から解放した山の牧場を、DS研とともに探索する鳥子と空魚。カルトによる悪趣味なリノベーションが施された建物の中、ふたりは人面を持つ牛の怪物、くだんに出くわす。「あかいひとがくるぞ」と空魚に告げたくだんは、血のようなものを残して姿を消した。

女子大学生ふたりの怪異・探検・サバイバル小説第四巻。温泉回あり、ふたりきりの夜行キャンプあり、告白もあり。数々のイベントを経て、百合小説としてステップを進めた感がある。さながら大人のゆりキャン△と言うか。怪異小説としての不気味さと、ポップな読みやすさの両立はさすが。裏世界には意思があるのか、意思のない「現象」なのか、ふたりの関係はどう進展するのか。引き続き楽しみにしています。