- 作者:岬 鷺宮
- 発売日: 2020/11/10
- メディア: Kindle版
「――そう。つまり、あなたたちは」
――女王陛下は。
銀色の巻毛と青い瞳が印象的なその老女は――。
資料PDFの表示されたiPadを受け取り、意外にも中流階級っぽい英語でわたしたちに言う。
「この国を――終わらせに来たのね」
あれから一ヶ月。深春と日和の恋は続いていた。深春の幼なじみ、卜部と連れ立って遊んだりと、尾道で過ごす初夏。その世界には、徐々に取り返しのつかない崩壊が迫りつつあった。
たったひとりの女の子のお願いを叶えるためだけに存在する、〈天命評議会〉。その強大すぎる存在にも関わらず、世界は本当に終わろうとしていた。2020年に始まった最新のセカイ系、第二巻。二巻でいったい何をするの、と思っていたら、なるほど、ブリグジットとQアノンをこういうふうに描くのか。前も少し書いたけど、エンターテイメントたるもの風刺と時事ネタをぶっこんでこそだと思っている。こういう姿勢は大好き。主人公がポピュリズムを気にするあたりで「セカイ系と令和の現在が接続された!」みたいな感慨があった。これこそ、今でなければ書けないだろうし読めない小説、なのだと思います。
kanadai.hatenablog.jp