鏡征爾 『雪の名前はカレンシリーズ』 (講談社ラノベ文庫)

雪の名前はカレンシリーズ (講談社ラノベ文庫)

雪の名前はカレンシリーズ (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:鏡征爾
  • 発売日: 2020/11/30
  • メディア: Kindle版

きみはいつか必ず死ぬ。物語に始まりも終わりもないように、きみの人生にも終わりも始まりもない。きみの人生は最初から始まっていて、最後まで終わっている。きみの瞳に映る世界は最高で最低で残酷で、そして過去はいつだって美しい。

ただそのことだけが哀しい。ただそのことだけが愛おしい。

この両義的な感情だけが、いまは救いだ。

巫女の託宣によると、「冬時間」と呼ばれる異世界から襲来する十三体の転生生物を殲滅した時、分裂した世界は統合されるという。転生生物に対処するため、転生インプラントを埋め込まれ生み出された少女たちを人工少女と呼ぶ。「カオナシ」と呼ばれる僕、四季オリガミの役割は、人工天使・制服少女委員会の転生者、赤朽葉カレンを記録すること。

ふたつに分裂した世界。インプラントを埋め込まれ、侵略者と戦い死ぬことを運命づけられた少女たちの学園。顔のない少年は学園のエースであり死を運命づけられた少女と運命を共にする。過剰なくらい様々なガジェットとマクガフィンに彩られた、出会いと初恋と別れの物語。今になってここまで直球のポスト・エヴァンゲリオン的な新作が読めるとは思わなかった。ファウストと飯野賢治に感謝を捧げるあとがきといい、ひとつの時代にピリオドを打ったような感慨と、良い意味での懐かしさがあった。よかったです。



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