逆井卓馬 『豚のレバーは加熱しろ(3回目)』 (電撃文庫)

豚のレバーは加熱しろ(3回目) (電撃文庫)

豚のレバーは加熱しろ(3回目) (電撃文庫)

我々は軽視されてきたからこそ、こうして重要な場面に立ち会っている。覚えておいてくれ。本当の意味で歴史を変えるのは、歴史から見向きもされてこなかった者たちだ

王の弟、ホーティスの居場所を突き止めた豚たち一行は、王朝と解放軍の同盟を強固にしつつ、闇躍の術師を倒すため北方へ向かう。

魔法使いとイェスマの関係を知り、記憶を取り戻したジェスとともに、豚は再び冒険に出る。弱者から奪うことで成り立っている社会システムに、豚と犬が抵抗する。読み返して今さら気づいたのだけど、これは『タクティクスオウガ』なのでは。王国と解放軍の同盟と諍い。王と王の弟の確執。国と王統を守ること。あまりにも軽く扱われる命。それでも、世界は少しずつ良くなっている、という。今回は少し詰め込みすぎな印象もあったけど、ふざけたタイトルからは想像できない、ハードで切ない正統派ファンタジーだと思うのですよ。騙されたと思って読んでみるといいですよ。