比嘉智康 『あの夏、僕らに降った雪』 (角川文庫)

あの夏、僕らに降った雪 (角川文庫)

あの夏、僕らに降った雪 (角川文庫)

  • 作者:比嘉智康
  • 発売日: 2020/12/24
  • メディア: 文庫

「湊さんはわかるかな? 人が完全に無関心な何かを見るときのまなざしって、それはもう、冷たくすらないの。冷たさを感じるほどの間も見てくれないから。目がね、合わないの」

高校2年の夏休み。いとこの悪巧みに乗り、年齢をごまかして治験のバイトに潜り込んだ湊は、深夜の病棟で入院患者の莉子に出会う。あらゆることから関心を失っていく難病、「無関心病」を患い、一ヶ月の余命だという莉子。湊は闘病のドキュメンタリーを撮るという莉子に協力することになる。

わたしはいつか大好きなキミから関心を失ってしまうだろう。北海道の短い夏、最後の恋物語。いわゆる難病もののフォーマットに乗っており、良く言えば安定している。「無関心病」と、それによって失われたものの描写は短いながら鋭い。とはいえ、物語としての新鮮味や面白みはあまり感じられなかったかなあ。