小林一星 『シュレディンガーの猫探し2』 (ガガガ文庫)

シュレディンガーの猫探し (2) (ガガガ文庫)

シュレディンガーの猫探し (2) (ガガガ文庫)

「は? 僕が捻くれ者だと仰るんですか? やだなあ、探偵嫌いの僕は捻くれ者とは程遠いでしょう。捻くれ者とは探偵で、探偵こそが捻くれ者です。実直で素直で純粋な人間が、人を疑い粗を探し揚げ足を取り時には罠にはめてまで『推理』という名の舌戦を制す論破マンになれるわけがないんですから。つまり探偵と対極にいる僕こそが実直で純粋だって話です」

「そういうとこだよ。君は」

東高の校庭に光が運んできた「明るい暗号事件」。そこには「東高五十面相」による犯行予告が記されていた。それは呪い。「二十面相」こと、死んだ姉が八年前の「七夕祭」に起こした事件を模倣した予告だった。

五つの「虹」が盗まれた八年前の事件を模倣して、「十二星座」を盗むと予告した「東高五十面相」。事件の迷宮入りを目指す「迷宮落としの魔女」とその助手令和は、それを阻止せんとする平成最後の高校生探偵と、幼馴染みの安楽椅子探偵と対峙する。一巻からの謎だった「やよいトリップ」に決着がつく。ぼんやりしたアンチミステリの印象があった一巻の物語を引き継ぎつつも、とても綺麗に過去との決着がつく。日常の謎とケレン味とちょっとの切なさが相まって、非常に高いレベルで完成していると感じた。物語としてはむしろここからが本番なのかな。楽しみにしております。



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