深雪深雪 『遥かなる月と僕たち人類のダイアログ』 (講談社ラノベ文庫)

「もう一度訊く。炭風はその人を――『どうやって』殺したんだ?」

ある放課後の帰り道。僕はクラスメイトの炭風凌香に声をかけられる。援助交際の噂を立てられていた彼女は、僕にその疑いを晴らすために協力してほしいという。ところが、教室で声をかけた炭風はその噂を肯定する。

秘密を抱えた彼女は月に呪われていた。タイトルを見てSFかと思ったら、同級生の少女と、人格を持った「月」のふたり(?)が高校生の少年がひたすら対話するラブストーリーだった。「青春ブタ野郎」を思い起こさせる導入には期待したのだけど、良かったのはそこまで。その後はとりとめのないオタクネタを挟みつつ、メリハリのない会話が続く。「月」の正体も驚くような何かがあるわけではなく、ページ数以上に長く感じられた。