牧野圭祐 『月とライカと吸血姫6 月面着陸編・上』 (ガガガ文庫)

――私たちが月へ導いてあげましょう。

あの頃は邪魔者扱いだったコンピューターはプロジェクトの中枢となり、『打倒共和国』を掲げていたデイモン部門長は、共和国の人たちを相手に冗談を口にした。

世界は変わる。

そして、願いつづけた想いは、もうすぐ実現する。

東のツィルニトラ共和国と西のアーナック連合王国の共同計画、「サユース計画」が始動した。10年以上に渡って宇宙開発競争を繰り広げてきた両国が協力して月着陸を目指す、歴史的事業。ツィルニトラの宇宙飛行士、レフとイリナ、西のコンピューター技術者、バートとカイエは互いの文化と仕事の違いに驚く。

東西の二大国の共同事業「サユース計画」始動。アニメ化も発表された宇宙開発史の最新巻。司馬遼太郎が宇宙開発史を書いたらこうなったんだろうな、という雰囲気をなんとなく感じた。シリーズ全体に通じることだけど、ここまで書くのならノンフィクションを読んだほうが楽しいのではないか、みたいなことを感じてしまった。実際はこの巻からは史実から大きく離れることになるのだけど。虚と実のバランスというかさじ加減というか、難しいんだなと思わされました。



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