逆井卓馬 『豚のレバーは加熱しろ(4回目)』 (電撃文庫)

豚のレバーは加熱しろ(4回目) (電撃文庫)

豚のレバーは加熱しろ(4回目) (電撃文庫)

〈ジェス。たった一つの真実は誰のものでもない。それを知りたいと思うのは悪いことじゃないし、見えていることから真実に辿り着いてしまうのも悪いことじゃない。たとえ真実が、誰かにとって都合の悪いことだとしても、怪物のように恐ろしいものだとしても〉

「怪物……」

ジェスはゆっくりと反復した。

王国への反旗を翻していたを暗躍の術師を撃破して訪れた一時の安寧。ジェスと豚は“願い星”と呼ばれる赤き北方星(サルビーア)を目指してふたりで旅をしていた。

コスプレあり、温泉あり、豚と少女のイチャラブハネムーン。そこにはひとつの嘘があった。権力闘争もひと段落、のんきなラブコメ番外編。……なのかと思っていたら、「真実という怪物」のトリックが襲いかかる。怒涛の解決編(?)からの、ラスト一行にしてやられた。日常回に仕掛けられていたミステリの語り。デビュー当初から、タイトルやテーマに合わない、しっかりした物語を作る方だなあと思っております。難しいだろうけど、もっと色んな層にフックしてほしいな。