とん、と地を蹴って――直上の空へと、墜ちるようにして、飛ぶ。
「…………ッ」
高いところは、好きじゃない。怪我をした時のことを、大事な人たちに悲しい顔をさせた時のことを、思い出すから。
けれど今は、今だけは、そんな事は言っていられない。今ここで自分が飛ばなければ、眼下の彼らは悲しい顔すらできなくなるのかもしれないのだから。
「うあああああ!」
叫ぶ。
500年前の、一度目の終わりの記憶でつくられた楽園にして、劇場のようなつくりものの世界。この世界の征く道を、決めるべき時が来る。時間も場所もばらばらに分かたれた5人の妖精兵の視点から描かれる最終章・前編。思った以上に長く続いた「終末」も、いよいよ本当に終わるらしい。世界のはじまりと終わりを、キャラクターが体感していく構成は、わりとありそうで意外となかった印象。次でラスト、楽しみにしています。