宇佐楢春 『忘れえぬ魔女の物語2』 (GA文庫)

「そう。一個だけだと無害な呪いでも、ほかの何かと組み合わさるととんでもないことが起きる」

呪いと、世界の繰り返しとか。

呪いと、呪いとか。

理不尽な繰り返しの一日を乗り越え、未散と綾香に穏やかな日々が訪れた。ある日、ふたりでいた放課後のこと、クラスメイトの深安なつめが綾香に頼み事を持ち込む。「演劇部に助っ人できてくれ」。それが呪いの始まりだった。

呆れるほどいつも通りだったふたりの日常を、呪いは少しずつ侵食していた。平均して同じ一日を5回過ごす、決して記憶を失うことのない「魔女」の物語。そこにいるだけで呪いになる「魔女」の存在を、現代の学校や家庭を舞台にして語ってゆく。その存在感は明白でわかりやすく、鮮烈。望まない形で願いを叶え、伝染していく魔女の力がいかに呪われたものか。「魔女」や「呪い」といったテーマへの踏み込みも、語りのうまさも、一巻から大きくステップアップした感があった。とても良かったです。



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