しめさば 『君は僕の後悔(リグレット)』 (ダッシュエックス文庫)

彼女は、口ずさむように、何度も、僕のことを好きだと言った。

僕も彼女のことが好きだったから、彼女の「好き」という言葉の意図を測りきれないまま、不用意にそれを受け入れてしまった。

全部、間違いだった。

浅田結弦には後悔があった。それは中学時代に付き合っていた恋人、水野藍衣のことだ。二人の恋は終わり、藍衣の転校で二度と会うことはない、そのはずだった。高校一年生の夏、藍衣は再び結弦の前に姿を表す。

帯に曰く「少年少女の恋と後悔と、対話の物語」。価値観がすれ違い続けた正反対のふたりは、後悔を抱えたまま別れ、心の備えもないまま再会した。恋をすることへの価値観の、対話と懊悩を描く。中学生から高校生になり、別れと再会、成長を経て変わっていく関係。会話の独特の間に引き込まれるけど、ある意味、よくある恋の物語といえる。青臭い変化を、じっくりと追いかけるといい。しみじみと読める一冊だと思います。