川岸殴魚 『呪剣の姫のオーバーキル ~とっくにライフは零なのに~ 3』 (ガガガ文庫)

ゆっくりとその戦士(アタッカー)の姿が現れる。

獣の骨で作られた不気味な仮面。仮面の後ろに流れる銀色の髪、つややかな褐色の肌。

鍛え抜かれた肢体は野生動物のよう。

そして肩に担いでいるのは……。

悪名高き〈屍喰らい〉か。

辺境伯から“黒衣の男”の目撃情報を知らされたシェイたちは、駆除騎士団と協力して外域の探索を行うことになる。主要四種の生活域の外にある、魔獣たちの世界である外域。駆除騎士団はそこで“変異種”と呼ばれる魔獣の正体を追っていた。

〈屍喰らい〉を操る最後のユグール族と、ユグール族を殺し尽くした〈縁砕き〉使いが正面からぶつかる。最後の呪剣士と戦場鍛冶師の物語、第三巻。教会に仕え、シェイを戎族(ジャンク)と呼んで蔑む駆除騎士団の登場で、作品の世界への理解は深まった。ただ、説明が詰め込みすぎで駆け足気味だったかなあ。珍しい正統派タイポグラフィは良かったけど、作者得意のコメディ調テキストでも厳しかった。