紙城境介 『転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?2』 (MF文庫J)

――これが精霊術学院の級位戦、その本質。

精霊術の優劣を競うのではなく、如何に相手を調べ、分析し、対策するか――

すなわち。

熾烈なまでの、情報戦なのだ。

ジャック・リーバーとして転生し、共に転生した妹との死闘から8年。引き続きフィリーネとともにリーバー家で精霊術に磨きをかけていた。そんなある日、リーバー家に王立精霊術学院のスカウトが現れ、入学試験の招待を受ける。

入学者の九割が脱落すると言われる学院に、全国から集められた神童たち。彼ら彼女らは「級位戦」という蠱毒で振り落とされてゆく。一巻と少し趣を変えて「神童集結編」を謳う第二巻。机を並べる神童――クラスメイトたちの情報を探り、裏をかき、打倒する。いかにもな学園ファンタジーでありながら、派手な魔法や直接の戦いよりも、情報戦と盤外戦術がメインにある。これはファンタジー版「喧嘩稼業」だな? ジャンルが変わったような気もするが、さすが読ませる。一巻で猛威を奮ったヤンデレ妹が、一度も姿を見せず要所で語るだけに抑えているのも、いい感じに不気味さを増長させる。今後に良い意味で悪い予感しかしない。続き楽しみにしています。



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