岸馬鹿縁 『嘘つき少女と硝煙の死霊術師』 (ガガガ文庫)

人間よりも死骸を愛し、愚かで不善の選択をし、真っ当などとはとても言えない。

けれどだからこそ。まるでお祭り騒ぎのような生き様と、死に様を。

この世で唯一、死を祝福する愚か者達の代表として。

祝福する。

「あなたもまた、死霊術師らしい死霊術師だった」

死霊術とは、死者を蘇らせ使役する秘奥。ヴェルサリウス評議国は、汚れ仕事を請け負う国家死霊術師を密かに組織化することで発展を遂げていた。死霊術師のひとり、ウィリアム・ジルドルッドは、相棒の“死骸”(デッド)ライニーとともに国家の影で粛清の任務に就いていた。

第15回小学館ライトノベル大賞審査員特別賞受賞。死霊術師と死骸の、あるいは少年と少女のバディもの。オーソドックスなダークファンタジーだと思う。個人的にはあまり見るところはなかったのだけど、社会における“死骸”(デッド)の立場や、産業における大量の“死骸”(デッド)の使われ方は『屍者の帝国』を思わせるもので、ちょっとおっとなった。