田中哲弥 『オイモはときどきいなくなる』 (福音館書店)

田んぼをぬけて、うら山につづくアスファルトの坂道をのぼってくと、道の両がわでずっとぽちぽちぽちぽち音がしてる。

木の葉っぱから水が落ちて、ぽちぽちぽちぽち雨がふってるように聞こえる

晴れてるのに雨がふると「キツネの嫁入り」なんていうけど、雨の音は聞こえるのに雨はふってないっていうのは、なんていうんだろうなあ。

「タヌキの土俵入り」とかかな。

小学生のモモヨと犬のオイモの春、夏、秋、冬を描いた童話。小学生の女の子の視点からの生き生きとした語りには想像の余地が多く、大人にとっては懐かしい田舎の空気と同時にを感じられるものが多いはず。線と色合いの淡い挿絵がまさにぴったり。色んなひとに読んでほしい童話でした。