陸秋槎/稲村文吾訳 『盟約の少女騎士(スキャルドメール)』 (星海社FICTIONS)

「あなたのお父様は正しかった。騎士になったとしても、髪を短くする必要はない」サラは言う。「こんなにきれいな髪、切ってしまうのはあまりにもったいないから」

メイヤール湖畔に建つ離宮には、ゼーラント国のアーシュラ王女が創設した“湖畔の騎士団”がいた。少女ばかりを集めたその騎士団は、様々な出自の少女騎士とその見習いたちが暮らしていた。騎士のひとり、サラは、ある日の任務中に不可解な連続自死に遭遇する。

少女騎士たちは〈七短剣の聖女〉を信仰する異教徒たちを追い、やがてこの世界の成り立ちに触れる。華文ミステリ作家による、日本初の単著書き下ろし。耽美なファンタジー世界を丹念に描いている。正直なところ、かなり目が滑るのでなかなか読み進めるのに難儀した。「“女騎士萌え”の物語を書いただけ」にしてはあまりに濃厚というか、フェチズムが過ぎるというか。