あまりにも心地よくて、僕は目を向けていなかった。
この空間が失われていく可能性のことに。
『小田島薫』が心の奥に隠した、怒りと、悲しみと、孤独に。
そして……彼女が抱えた、後悔に。
中学時代の恋人、水野藍衣との対話を経て結弦は『後悔』を乗り越えた。しかし、今度は読書部員の小田島薫の様子がおかしくなる。
自分だけの宇宙に抱え込んだ、孤独と後悔と恋。「後悔」と「対話」の物語、第二巻。かつての失敗を糧にして、誰かに手を差し伸べること、それが人間関係を変える過程を描く。高校生が人間関係に踏み込むもどかしい危うさを、周囲の大人たちと対象的に、地道に描いている印象。派手だったり、カタルシスがあったりはないのだけど、しみじみと良い恋愛小説だと思います。