紙城境介 『転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?3』 (MF文庫J)

意味がわからない――何もかもが唐突。

いきなり世界が切り替わってしまったかのようだ。

まるで、乱丁でめちゃくちゃになってしまった小説のような――

――まるで、悪い夢のような。

精霊術学院学院長にして永世霊王、トゥーラ・クリーズが称号の返還を発表した。一ヶ月後の霊王戦では、三十年ぶりに新たな霊王が誕生することになる。祭の裏では、新霊王の地位をめぐり、王権派と民主派の代理戦争が始まろうとしていた。

「……ジャック君……」

エルヴィスが、震え声で呟いた。

「ぼくたちは、今……何を見ているんだ……?」

――ああ。

考えが甘かった。

想像が浅かった。

しかし、その前提はすべてひっくり返される。二巻の時点で「これはファンタジー版「喧嘩稼業」だな?」という感想だったけど、もうこれは完全に新本格やんけ、とか、竜騎士07のやり口いや『ベルセルク』の触やんけ、とかいろいろな思いが頭の中に巡った。今まで見ていたのはひっくり返すためのちゃぶ台の設営だったのか、とか、デビュー作『ウィッチハント・カーテンコール 超歴史的殺人事件』の意趣返しでもあるのかな、とか、言葉にまとまらない感想が浮かんでは消えていった。ラブストーリーもいいけどこういうのを待っていたのですよ。ちょう楽しかったです。



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