世界は弱い者、怠惰なものを許容しない。この世界では、俺たちこそが異物。
この世のあらゆる物語が、詩が、思想が叫んでいる。
正しくあれ! 正しくあれ! 正しくあれ!
俺たちの頭のなかには、いつだってそんな声が響いている。
特別生徒相談室。それは「困窮する人々を遍く救済する」という方針で作られた謎の校内機関。そこに現れたのは自称ビリギャルのクラスメイト、仲里杏奈。自他共に認めるクズ生徒にして、成績が悪すぎてついに留年にリーチがかかった狭山明人は、同じ境遇の杏奈とともに留年回避プロジェクトに取り掛かる。
「脳って、筋肉と違って無限にいじめられるから好き……」
はぐれもののゴミクズ生徒たちが、底辺で織りなす青春と、底辺から見える景色。ほぼ五年ぶりとなる第二巻。さすがにまったく覚えてなかったけど、細々とした振り返りが挟まったおかげでさほど支障なく読めた。上を目指さず、負けて負けて、社会の底辺を進み続ける生き方。その先にあるのは破滅かもしれないし、別の評価軸があるかもしれない。そもそも、負けることは悪なのか? 強いことは正義なのか? みたいな。究極の逆張りみたいな青春小説だけど嫌いじゃない。願わくば、次はもう少し早く出てくれるといいな。
kanadai.hatenablog.jp