てにをは 『また殺されてしまったのですね、探偵様 3』 (MF文庫J)

「そうね。普通ならそれで相手の勝ちだわ。真実を知るものはこの世にはいなくなる。ところがあなたは聞き出した情報を保持したまま生き返っちゃうってわけね。大したものだわ」

嵐によってクローズドサークルと化した画廊島。そこに現れた大富豪怪盗シャルディナは、島に向けて明朝6時にミサイル発射の指示を出したという。あと数時間、それまでに謎が解けなければ犯人も被害者も、殺人事件もトリックも、すべてが瓦礫の下だ。

前回の続きとなる「画廊島の殺人 後篇」とそのほか二篇を含む第三巻。いかにも一発ネタっぽい「殺されても生き返る探偵」を一発ネタにせず、「殺されて生き返る」存在そのものを話の軸に活かしつつ、新しい物語をつくろうという姿勢を感じた。新本格チックで大仰な話運びはミステリプロパーには評価されない小説だと思うけど、エンターテイメントとして巻を追うごとに楽しくなっている。特に今回はある謎解きと同時に開示される222ページのイラストが最高だった。このイラストのために読む価値があると断言できるし、たまにでもこういうのがあるからこそ、ライトノベルを読むのがやめられないというのはある。続きも楽しみにしています。