白金透 『姫騎士様のヒモ2』 (電撃文庫)

申し遅れたが、俺の名はマシュー。

昔は『巨人喰い』(ジャイアント・イーター)なんて呼ばれた冒険者だった。色々あって力を失い、放浪の末にこの『灰色の隣人』(グレイ・ネイバー)に流れ着いた。

今の俺は姫騎士様のヒモであり『命綱』、そして時には姫騎士様に害をなす連中の首を絞める縄でもある。

灰と混沌にまみれた迷宮都市。元冒険者のマシューは、迷宮探索に励む姫騎士アルウィンのために裏で手を汚し続けていた。ある日のこと、王国直属の治安維持隊長、ヴィンセントがマシューの前に現れる。ヴィンセントはギルドの鑑定士ヴァネッサの兄だった。

あまりに物騒で、血と埃に汚れた迷宮都市の姫騎士とヒモの物語、第二巻。舞台となる『灰色の隣人』(グレイ・ネイバー)文字通りの意味で治安が悪い。クスリ、殺人、異端の宗教が横行し、人心も荒廃した街の描写は非常に雰囲気がある。さながらリルガミンの日常といった雰囲気。それにしても、自分が殺した娘の兄が目の前に現れてもこれほど冷静でいられる、というか冷徹でいられる主人公はかなり珍しいのではないか。揺らがず省みない大人の主人公、といっていいのだろうか。次で話がまた動きそうな予感、楽しみにしています。



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