駒居未鳥 『アマルガム・ハウンド2 捜査局刑事部特捜班』 (電撃文庫)

「いい演技だったよ。お前、泣けるんだな」

「それらしく見せるだけならね。化学式が短いものほど、体内で速く生成して放出できるの」

一瞬、テオは理解が追いつかずに固まった。涙からそんな話に飛ぶなんて想像もできない。

少女型の戦略兵器、イレブンが正式に加入した特捜班は、平和祈念式典の最中に起きたテロの事後処理に追われていた。そんなある日、特捜班は養子縁組詐欺に関わる惨殺事件の捜査に取り掛かる。

一組の夫婦が惨殺され、その子供は行方不明。「人体復元」を謳う組織の関与が疑われる事件捜査のため、テオたち特捜班は豪華客船に潜入する。ヒトとヒトならざるもの、四人のチームが活躍するクライムサスペンスの第二巻。一巻と同様、四人四色の個性を見せつつ、チーム捜査の面を強調している。捜査の進展をくどいほど細やかに、誠実に描いていると思う。そして一巻とは対照的な豪華客船という舞台を、ドレスにダンスを、しっとりと細やかに、華やかさをしっかり交えて描いている。力の入ったイラストもシーンにマッチしており、話を盛り上げるのに一役買っていた。俯瞰してみればシンプルで熱い刑事ドラマの面が強いんだけど、その中でどんなテーマを書くことができるか。幅の広さを見せつけられた気がした。楽しかったです。



kanadai.hatenablog.jp