なにか食べよう、と思った。冷蔵庫を開けた。なにもなかった。なにも入っていないという意味ではない。入っているものの量だけをいえば立派なものだった。捨てる機会を長きにわたり逃し続けている空の牛乳パック。常温での放置が不安なのでここに入れてある缶詰のごみ。いつから入っているのかわからないキャベツ。貧乏性のため捨てられない調味料の小袋。そろそろ魔力でも宿っているかもしれないスライスチーズなどである。痛ましい光景だった。冷蔵庫の扉を幽鬼は閉めて心を守った。
プレイヤーネーム、
「……いっちょまえに見栄切りやがって……」
幽鬼 は言う。恨めしげに。
「向いてないんだよこのゲームに! 実社会でやってけよお前みたいなのは!!」
どこかの金持ち共を楽しませるため、肉体改造を施された何も知らない少女たちが、金と命を賭けて殺し合う殺人ゲーム。
社会での生活力が皆無、殺人ゲームの中でしか稼げない。悪趣味だ露悪的だといえばその通りだけど、虚無のままゲームに参加し、殺すことに躊躇のない主人公