後になって、思うに、雫凪ミオ誕生プロジェクトは間違いなく成功していた。
それだけを考えていたのだから、当然だろう。
本当に、俺は徹頭徹尾、雫凪ミオちゃんのことばかり考えていて。
――海ヶ瀬果澪のことを、まるっきり知ろうとしていなかったのだから。
高校に通いながらイラストレーターとして活動している自称神絵師、亜鳥千景。ある日、身分を明かしていなかったはずのクラスメイトからSNSにDMが届く。内容は、「私のママになってくれませんか?」。
第18回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作受賞作。高校生兼バーチャル灯台管理人、雫凪ミオ。目標チャンネル登録者数は10万人。高校生たちの新人VTuberプロジェクトはトントン拍子に進むが、その一方で見落とされてしまうものがあった。VTuberにはまったく詳しくないのだけど、「プロジェクト」はわかりやすく説得力があると思うし、高校生の等身大の視点から、仕事を進める上で考えるべきこと、守らなければいけないことを高校生の等身大の視点でしっかり語っているのも良いと思う。後半は思いがけない方向に空気がガラリと変わる。本当の自分を見てもらいたいために選んだ手段がVTuberになるというのは皮肉な話だね。自分にはピンとこないところもあったのだけど、ある程度VTuberに興味があるひとであれば楽しめるのではないでしょうか。