「未来とのやりとりができる装置。リングレーザー通信機。どうだい、夢のようだろう」
どう返事すればいいかわからず、曖昧なうなずきだけを返した。
物理学科4年の万里部鉱は、単位のために訪れた研究室で、異様に不機嫌で風変わりな少女と出会う。少女の名前は17歳にして教授だという三澄翠。翠と老教授が発明したのは、未来と交信することができるリングレーザー通信機。鉱は卒業単位のため、通信機のメンテナンスと、翠のお世話をすることになる。
『わたしとあなたが恋をしないと、世界は終わる』。2031年との通信に乗せられた、世界を救うための方法とは。『STEINS;GATE』を思わせる設定の青春小説。といっても、種明かしの部分はSFよりミステリに近い、のかな。ビジュアルノベル作家の初小説ということもあって、日常パートに多くのページを割いている印象が強い。悪くはなかったんだけど、個人的に期待していたものとはちょっと違ったかも。