「やれやれ。タイムリープというものは、あれだな。読んでいるぶんには楽しいが、モブ側として体感するとややこしいものだな」
2002年6月5日、午前6時17分32秒。東京と呼ばれていた都市の一部が消滅。のちに「来訪者の日」と呼ばれるその日、何百という来訪者が地球に降り立った。少年の青春と、地球人という種の青春時代は強制的に終わったのかもしれない。
「からくりが、読めたのか?」
「概ねのところは。ケン・グリムウッドの『リプレイ』と言ってわかるか?」
都市と愛しい人が消えてしまった最後の一日、2002年6月5日を繰り返す。メディアミックス企画の一環として書かれたという、「明るく元気な近未来バディアクションのふりをした愛と勇気の物語のふりをした近過去くいだおれの旅のふりをしたSF定番の某ジャンル作品の皮を被った別の何か」。東京消失、ファーストコンタクト、バディアクション、タイムループ、特撮バトルと、ゼロ年代SFの雰囲気を持ったあらゆるものが詰め込まれ、謎をいくつも残したままぶん投げられて終わる。終わり方もあって、全方位に半端で薄めの雰囲気小説になっているのは残念。どうしてこうなっているかはあとがきでわかるんだけど、続きがちゃんと出るのかな。
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