「いいわ……っ! 最低に見苦しくて……あなた最高。でも――私を悪者にするのは……」
囁くように、低く低く先輩は声を出した。
「――死んでも許さないから」
園芸部所属、蛇谷カンナ、行動原理は「嫉妬」。あらゆるものに嫉妬を向け、好きなものより嫌いなもので自分を語る。そんな彼女の趣味は犯人――つまり、いくら叩いても構わない「悪者」のいる、謎を解くこと。
第18回小学館ライトノベル大賞優秀賞。黙っていれば美人なのに口を開けば「妬ましい」しか言わない蛇谷カンナ先輩と、考えていることが全部顔に出る僕の「学園青春"探偵"小説」。日常の謎をメインにした、コミカルなキャラクター小説のノリではあるけど、明確な「悪者」を求めているのが異色と言えるかな。蛇谷先輩はなぜ嫉妬するのか、なぜ悪を叩くことに固執するのか。わかりやすい悪者を叩けば何かが解決するのか。蛇谷先輩がとてもいいキャラをしてると思うので、最近の流行りを見るに、メディアミックスされれば話題になりそう。続きとメディアミックス展開を待っています。