紙城境介 『継母の連れ子が元カノだった12 男なんて一人しかいない』 (スニーカー文庫)

好きだったんだ。

こいつのことが、大好きだったんだ。

だから、違う。こんな未来は違う。こんなのは望んじゃいなかった。こんなのは思い描いちゃいなかった。

大切にしたかったんだ。

夏休み。目を覚ました川波小暮は、パンツ一丁だった。中学生の同級生たちとのプチ同窓会をしていたはずだが、眠る前後の記憶がまったくない。幼なじみの南暁月に聞こうとするも様子がおかしい。果たしてその晩、何があったのか。ふたりは帰省中で不在の水斗と結女に助けを求める。

消えた記憶、食い違う記憶。その根本には、幼なじみふたりの黒歴史があった。一晩の謎と、ずっと描かれてきたもう一組の決着がミステリの仕掛けで語られる第12巻。作者の嗜好だと思うんだけど、巻を追ってミステリの味が濃くなる。LOVE寄せならぬミステリ寄せ。11巻をかけて(間を空けながら)描いてきた関係だけあって、収まるべきところに収まった感もありながらも、強い納得感と満足感があった。良かったです。