桂嶋エイダ 『ドスケベ催眠術師の子3』 (ガガガ文庫)

返される契約書を、俺は手に取った。

「ありがとう。そしてお疲れ様。ドスケベ催眠術師の子」

夏休み。ドスケベ催眠術師の子、佐治沙滋の前にひとりの少女が現れる。少女の名前は片桐瀬織――二代目ドスケベ催眠術師、片桐真友の妹にして、誰からも認識されない透明人間。セオリは、新興宗教とドスケベ催眠術が原因で離散してしまった片桐家をもとに戻してほしいとサジに依頼する。

誰からも認識されず、記憶すらされない少女の願いは、離散した家族をもとに戻すこと。家族の再会と、「ドスケベ催眠術師の子」ではなくなる佐治沙滋のそれからを描く。シリーズ最終巻。「青春ブタ野郎」シリーズへのリスペクトもコメられているのかな。ドスケベ催眠術師の「子」という呪い、合理的に生きるという生き方を、ふたつの親子、ふたつの家族を通して解いてゆく、という解釈でいいのかな。家族を書いた小説にもともと弱いというのもあるけど、しんみりとした、でもたしかな成長と変化が感じられるラストまで、とても良かったと思う。お疲れ様でした。