大武栄一 『ニュー忍者ロード 上』 (ガガガ文庫)

「そも、あんたさんたち、サスライサマと呼ばれてる方たちは、なんなんですか。仮初の命、と上泉先生は言ってましたが」

「“誰かの想い出”なんだとかきいたぞ。だから“死ぬまでの生前の記憶を持ち、全盛期の業と若い身体を持っている”んだってさ、しらんけど」

高校一年生の連城大弥は、北群馬で密かに受け継がれてきた上州大魔縁流の当主である。近頃、県内でかつての剣豪を名乗る謎の輩が出現するという。大弥は前橋の市街で、生徒会長姫氏原すみれと、彼女に付き従う剣聖、上泉伊勢守信綱に出会う。

武芸百般、あらゆる手を取り入れ、誰にも知られず受け継がれてきた現代忍術、上州大魔縁流。願いを叶えるため、運命に抗うため、未来を切り拓くため。奥利根の龍神の力で蘇った剣聖に無名の現代忍者が立ち向かう。一対一の勝負や、力量に天地の差がある相手にどう立ち会うか。アクションのひとつひとつまで、贅沢にページを使って描いていく。文章が硬いのはオマージュなのかな、と思っていたらすぐに夢中になっていた。山田風太郎かFateかといったあらすじから期待するものを裏切らない、令和の剣豪小説だと思う。8月に出る下巻も楽しみです。